将棋の感想戦のやり方──負けた将棋を、次の一勝に変える
対局が終わったあと、勝っても負けても「あの手はどうだったんだろう」と振り返る時間。それが感想戦です。将棋が強くなる人ほど、この振り返りをていねいにやっています。とはいえ、いざやろうとすると「何を話せばいいのか」「一人だとどう進めればいいのか」で手が止まりがちです。
この記事では、感想戦で何を振り返るのかを整理したうえで、一人でのやり方、相手と一緒にやるやり方、そしてソフト解析の使いどころまでを順に説明します。使うのは、URLを送るだけで同じ盤を並べられる感想盤(無料・登録不要)です。
感想戦で振り返る三つのこと
やみくもに並べ直しても、感想戦はうまくいきません。見るところを絞ると、ぐっと実りが増えます。振り返るのは、大きく次の三つです。
一つめは、敗着探し。 「どの一手で形勢が傾いたのか」を一点だけ突き止めます。負けた将棋には、たいてい「ここが分かれ目だった」という手があります。最後の頓死ばかりが目につきますが、本当の原因はもっと前にあることが多い。序盤から並べ直して、「ここまでは互角、この手でおかしくなった」という境目を探すのが感想戦の背骨です。
二つめは、分岐の検討。 敗着が見つかったら、「ではどう指せばよかったか」を実際に並べてみます。頭の中だけで「こう指せば」と考えるより、盤に別の手を置いて、その先を数手進めてみる。すると「なるほど、この受けがあるから無理だったのか」と、読みの穴が見えてきます。本譜と別の変化を並行して残せると、この検討がぐっとやりやすくなります。
三つめは、相手との対話。 対局相手がいるなら、「あのときどう思っていたか」を聞くのが一番の教材です。自分が怖かった手を相手は何とも思っていなかったり、逆に相手が受けに困っていた手に自分が気づいていなかったり。同じ局面を見ているのに、二人の頭の中はまるで違う。その差を突き合わせる時間が、感想戦のいちばんおもしろいところです。
一人での感想戦のやり方
相手がいなくても、感想戦はできます。むしろ、自分のペースでじっくり振り返れる一人感想戦は、上達の土台になります。
手順はシンプルです。まず、対局アプリから棋譜をコピーします。将棋ウォーズや将棋クエスト、棋桜など、たいていのアプリには棋譜のコピー機能があります。次に、感想盤を開いて「棋譜検討」に切り替え、棋譜を貼り付けます。KIF・KI2・CSA形式に自動で対応します。
あとは、一手ずつ並べ直しながら、さきほどの三つのうち「敗着探し」と「分岐の検討」をやっていきます。気になった局面で立ち止まり、別の手を並べてみる。 合法手だけで指せば自動で分岐が枝分かれして残るので、「本譜はこう、でもこう指せば」を並べたまま見比べられます。並べ直すほど手が指に馴染むので、棋譜並べそのものが練習になります。並べ方のコツは棋譜並べのやり方にまとめました。
相手と一緒にやるやり方——URLを送るだけ
対局相手と離れていても、感想戦はできます。感想盤は、盤のURLを送るだけで、相手と同じ盤を一緒に並べられるのが持ち味です。
やり方は、盤を開いてそのURLを相手に送るだけ。相手がURLを開けば、同じ盤が二人の画面に映ります。片方が動かした手は、その場でもう片方の画面にも現れます。 「この手はどうだった?」と口で言う代わりに、実際に盤で並べて見せられる。対面で盤を囲んでいるときのあの感覚を、そのまま遠隔で再現できます。
アカウントもインストールも要りません。相手にURLを送って、開いてもらうだけ。将棋教室や研究会で「今の将棋、ちょっと振り返ろう」というときにも、そのまま同じ盤を全員で共有できます。
ソフト解析を、感想戦の道具にする
「二人で見てもどちらが正しいか分からない」——そんなときは、ソフトの目を借ります。感想盤には、**ブラウザだけで動く解析機能(β・無料)**があります。
敗着っぽい局面まで進めて解析ボタンを押すと、評価値と候補手が出てきます。「やっぱりここが分かれ目だった」「実はもっと良い手があった」を、数字と読み筋で確かめられます。しかも解析が示した変化は、ワンタップでそのまま棋譜の分岐として追加できるので、「ソフトはこう言っていた」を盤の上で相手に見せられます。口で説明するより、ずっと伝わります。
解析はすべてあなたのブラウザの中で完結し、棋譜が外部に送られることはありません。使い方の詳しい手順は棋譜解析のやり方にまとめています。ただし、感想戦の主役はあくまで自分と相手の読みです。まず自分たちで振り返ってから、答え合わせにソフトを使う——この順番だと、解析がいちばん身につきます。
よくある質問
Q. 感想戦は勝った対局でもやったほうがいいですか。 A. はい。勝った将棋にも「危なかった局面」や「もっと良い勝ち方」が隠れています。勝敗にかかわらず、形勢が動いた一手を一点探す習慣をつけると、勝ち将棋からも学べます。
Q. 一人だと何から手をつければいいか分かりません。 A. まずは「敗着探し」だけに絞ってください。序盤から並べ直し、「ここまでは互角」という境目を一つ見つける。それだけで十分な感想戦になります。分岐の検討は、その一手の周りだけで構いません。
Q. 相手と同じ盤を見るのに、登録は必要ですか。 A. 不要です。盤のURLを相手に送り、開いてもらうだけで、同じ盤を一緒に並べられます。アカウント登録もアプリのインストールも要りません。
Q. 検討した変化は保存できますか。 A. 棋譜検討モードで並べた手は、本譜と別の変化が分岐ツリーとして残ります。「本譜はこう、でもこう指せばよかった」を枝分かれのまま保存できるので、あとから何度でも見返せます。
Q. ソフト解析はどのくらいの精度ですか。 A. 軽量エンジン(やねうら王+水匠Petite)を使っており、アマチュアの検討には十分な強さです。感想戦の答え合わせには十分ですが、まずは自分たちの読みで振り返ってから使うのがおすすめです。詳しくは棋譜解析のやり方をご覧ください。
まとめ
感想戦は、「なんとなく負けた」を「ここでこう指せばよかった」に変える時間です。振り返るのは、敗着探し・分岐の検討・相手との対話の三つ。一人なら棋譜を貼り付けて並べ直し、相手とならURLを送って同じ盤を囲む。答え合わせにはソフト解析を添える。まずは直近の一局を貼り付けて、いちばん悔しかった局面から並べ直してみてください。